E.S.Cheers!! - #Eurovision 2017-

ヨーロッパで開催される年に一度の音楽祭ユーロビジョン・ソング・コンテスト(ESC)の最新情報などをお届けします。

2015年04月

【ESC2015】アゼルバイジャン:ちょっと異色の経歴の秀才 Elnur Huseynov



ユーロビジョン2015アゼルバイジャン代表は、Elnur Huseynovの「Hour of the wolf」 に決まりました。
たとえ心が傷ついても、また立ち上がって強く生きていくという思いを込めたバラードナンバーとなっています。
聞いていると、挫けた心が癒され、また立ちあがる勇気ももらえる一曲だと思います。

実は今回が二度目の出場となるElnur。今回のライブパフォーマンスも非常に気になるところです。


〈Elnur Huseynovのプロフィール〉
Elnur Huseynovは1987年に、旧ソ連(現:トルクメニスタンの首都)のアシガバートで生まれました。
音楽理論専門の学者を務めている母のもとで育ったこともあってか、Elnerは5歳のころから音楽学校に通いピアノを学んでいたのだそうです。

12歳のころにアゼルバイジャンの首都バクーに移住した後も、Elnerはクラシック、ジャズ、ポップスさまざまなジャンルの音楽を経験していくこととなり、2004年にアサフ・ゼイナリー音楽大学を卒業します。

音楽のキャリアを着実に重ねていく一方で、Elnerは医科大学に通って歯科学の学位を取得し、音楽大学の卒業後はヘアスタイリストコースに入学するなど、一見するとどの道を進んでいこうとしているのかわからないような経歴も重ねていったのです… 

よく考えると、歯や口というのは歌う上で非常に大事な器官ですし、ヘアスタイリングも、ステージセンスを磨く上で大事になっていく知識ですから、人の前に立つプロの歌手への道を彼なりに思い描いていたのかもしれません。彼はヘアスタイリストの勉強をする傍らで、アゼルバイジャン国立アカデミックオペラ・バレエ劇場に勤め始めていたという事からも、プロへの道を思い描いていたことがうかがえます。

2003年にアゼルバイジャンのテレビ局主催の音楽コンクールで最優秀賞を受賞し、プロとしての道を進み始めたElnurは、2008年にユーロビジョンのアゼルバイジャン代表としてSamir Javadzadehと共に出場します。
 
Elnur & SamirDay After Day」 ユーロビジョン2008より 白い天使の方がElnur) 

この年初出場となるアゼルバイジャンは、決勝に進み8位といまずまずの成績を残すこととなりましたが、この後二人組は解散し、Elnurはまた新たな音楽キャリアを積み重ねていくこととなります。2010年にはアゼルバイジャン版のミュージカル「ノートルダムの鐘」でフェビュス役を演じ、歌のみならず演技にも磨きをかけていったのです。

そんなElnerが2014年に挑戦したのは、オーディション番組のトルコ版The VOICE「O Ses Türkiye」 でした。
The VOICEといえばおなじみブラインドオーディション。Elnurは一体何人の審査員を振り向かせることができたのでしょうか?
 
Elnur HuseynovLatch」カバー O Ses Türkiyeより) 

なんと審査員全員を振り向かせることに成功! その後も順当に勝ち上がると共にファンも増えていき、Elnurはついにトルコ版Tve VOICEシーズン4で優勝したのです。 決勝の際、彼は電話投票で100万を超える番組史上最高の票数を獲得したのだそうです。


一度目の出場から7年が経ち、様々な経験を重ねた後に再度ユーロビジョンのステージに立つことになったElnurは、現地時間5/21に開かれる準決勝二日目に登場します。


参考:ESC公式、Wikipedia"Elnur Hüseynov(/)" 

【ESC2015】エストニア:売れっ子ソングライターと若手シンガーが奏でる「メロドラマ」



ユーロビジョン2015エストニア代表は、Elina Born & Stig Rästaの「Goodbye To Yesterday」に決まりました。

レトロな曲調、思わせぶりなミュージックビデオ… 
非常に引き込まれるものがあるこの曲は、イタリア、スウェーデン、スペインと並び、今年の楽曲の中で高い人気を誇っています。 


〈Elina Born & Stig Rästaのプロフィール〉
ElinaandStigStig Rästa(写真左:作詞作曲、ギター担当)
Stig Rästaは1980年にエストニアの首都タリンで生まれました。

2002年にエストニアのポップロックバンドSlobodan Riverのメンバーとしてメジャーデビュー。このバンドで4年間活動した後、様々なバンドでギタリストや作曲をし活動してきました。ちなみに、彼は主にギタリストや作曲家として活動しており、今回のエントリーのように歌を披露することはまれなんだそうです。

そんな売れっ子作曲はStigは今から3年ほど前、YouTubeでElina Bornと運命の出会いを果たします。
 
Elina BornCruz」カバー)

YouTubeでElinaが歌うクリスティーナ・アギレラの「Cruz」を聞き、「彼女の音楽的才能に惚れてしまった」Stigは、ElinaのFacebookページを見つけ、コンタクトを試みました。


Elina Born(写真右:ボーカル担当)
Stigに音楽的才能を見出されたElina Bornは、1994年にエストニア北部の小さな町Lehtseに生まれました。

彼女が一躍エストニア中の注目を集めるきっかけとなったのが、2012年に放送されたエストニア版のアメアイ「Eesti otsib superstaari(英訳:Estonia is Searching for a Superstar)」 への出演でした。
 
Elina BornNothing Compares To You」カバー Eesti otsib superstaariより) 

この番組でElinaは決勝まで駒を進めることとなったのですが、結果は惜しくも2位となってしまいました。

そんな彼女に、ある日Stigから一通のメールが届きました。
YouTubeで披露した歌声に惚れたStigが、Elinaに楽曲提供を申し入れたのです。
売れっ子作曲家からの突然のメールに、Elinaは当時「正直に言って、泣き始めちゃったの」とのこと。暫くの間、勇気がなくてなかなか返事を出すことができなかったようです。

しかしその後、彼女はStigと楽曲制作に入り、2015年のユーロビジョン国内予選に臨むこととなりました。
 
Elina Born & Stig Rästa 「Goodbye To Yesterday」 エストニア国内予選より) 

彼らは国内予選の視聴者投票で79%という国内予選史上最高の高得票で見事優勝。エストニア代表の座を獲得しました。


YouTubeが結んだ二人組。
本選ではどんなパフォーマンスが披露されるのでしょうか? 
Elina Born & Stig Rästaは現地時間5/19に開かれる準決勝1日目に登場します。


参考:ESC公式、Wikipedia”Stig Rästa”、”Elina Born” 

【ESC2015】フィンランド:今大会最短! 1分30秒に込められた「彼ら」の願い



ユーロビジョン2015フィンランド代表は、Pertti Kurikan Nimipäivät(ペルッティ・クリカン・ニミパイヴァト/ペルッティの名前の日)の「Aina mun pitää(いつも何かを強要される)」に決まりました。

何の前知識もなく初めてこの曲を聞いた時、「なぜこのおやじバンドがフィンランド代表に選ばれたんだろう?」と思いました。ユーロビジョンの演奏時間規定である3分を大幅に下回る1分30秒という曲の短さにもちょっとした驚きを感じていました。
一方、デス声っぽい歌声やサウンドがフィンランドらしいパンクロックサウンドで、ただのおやじバンドとは思えない、若くて荒々しいパワーも感じていました。

そこで、よくよく調べてみるとこのバンド、やはりただのおやじバンドではなかったんです。

フィンランド代表としては久々のフィンランド語詞によるエントリーで出場するこのおやじバンドの素顔にちょっと迫ってみましょう。 


〈Pertti Kurikan Nimipäivätのプロフィール〉
PKNPertti Kurikan Nimipäivät(以後PKN)は、写真左から
 ・Sami Helle(ベース担当)
 ・Kari Aalto(ボーカル、作詞作曲担当)
 ・Pertti Kurikka(ギター、作詞作曲担当)
 ・Toni Välitalo(ドラム担当)
の4人で構成されたパンクロックバンドです。

この4人は全員が知的障害者で、2009年にNPO法人が主催した成人の知的障害者向けワークショップで結成されました。

バンド名の由来は、メンバーのPerttiがパンクを始めた日が「Perttiの名前の日」だったからなのだそうです。この「◯◯の名前の日」というのはフィンランド独特の習慣で、暦の一日一日に人の名前が割り振られていて、自分の名前の日になると、(誕生日とはまた別に)お祝いなどをしてくれるんだとか。誕生日とはまた別の記念日があるのは羨ましいですね。

2009年に結成されたこのバンドPKNが注目されるきっかけとなったのは、「Kallioon!」のデモテープでした。

(PKN 「Kallioon!」) 

このデモテープが動画サイトなどで公開されたことがきっかけとなり、彼らの評判が知的障害者の間だけでなく、一般のロックファンの耳にも届き、徐々に支持を集めるようになったそうです。

国内でLPレコードをリリースしたり、パンクバンドとのコラボレーションを行うなどして知名度をさらに広めていくうちに、評判は海外にも飛び火。ドイツ、ノルウェー、イギリスなど海外でのライブツアーも行い、成功を収めています。

そんな彼らの人気の秘密は、ストレートな歌詞にあります。

「権力者達はやっかい者をすぐに閉じ込める」
「グループホームは嫌いだ」
「少しばかりの敬意と尊厳がほしい」…

健常者が普通に得られている自由が自分たちにはなかったり、世間から冷たい目で見られていることからくる怒りをぶつけた歌詞には、知的障害者のみならず、世の中に怒りを覚えながらも鬱屈した日々を過ごす若者の心もグッと掴み、人気を集めることとなったのです。


〈映画「パンク・シンドローム」公開〉
そんな彼らPKNは、映画界でも注目をあつめることとなりました。

2012年に、彼らの日常とバンドがブレイクするまでの道のりを追ったドキュメンタリー映画「パンク・シンドローム」が公開され、フィンランドアカデミー賞(最優秀ドキュメンタリー賞)やサウス・バイ・サウスウエスト映画祭2013観客賞受賞など、世界各地の映画祭で受賞し、さらに知名度を上げていったのです。


(パンクシンドローム 予告編)

ちなみに日本でも、2013年に山形国際ドキュメンタリー映画祭で初公開され(同映画祭市民賞受賞)、2015年1月17日から各地の映画館で順次公開がはじまっています。ドキドキ、ハラハラ、笑いもあればクールな演奏シーンも楽しめるこの映画、興味のある方はぜひご覧ください。


2015年に開かれたフィンランド国内予選UMKで優勝した彼らは、ステージで「障害を持つすべての人は、より勇敢であるべきだ」とコメント。昨年のユーロビジョンで優勝したConchita Wurstの優勝コメントにも似た力強さを感じずにはいられません。

ついにユーロビジョンのステージに立つこととなったPKN。
現地時間5/19に開かれる準決勝1日目で披露される彼らのライブパフォーマンスにも注目です。 


参考:ESC公式、Wikipedia"Pertti Kurikan Nimipäivät"、サンケイビズ、映画「パンク・シンドローム

ロシア代表Polina Gagarina ウラジオストクで生歌披露 他

〈ロシア代表Polina Gagarina ウラジオストクで初ライブ・パフォーマンス〉
ユーロビジョン2015ロシア代表Polina Gagarinaが現地時間4/2にウラジオストクで開催したライブで、代表楽曲「A Million Voices」の生歌を初めて披露しました。
 
Polina GagarinaA Million Voices」)

各国のエントリーが出揃った今。生歌が原則のユーロビジョンにおいて、発表された音源のままのキーで生歌を披露できるのかどうかがファンの間で注目を集めていますが、Polinaはそんなファンの心配を寄せ付けない見事なパフォーマンスを披露してくれました。

ユーロビジョン2015ロシア代表Polina Gagarinaは現地時間5/19に開かれる準決勝1日目に出場します。


参考:Oikotimes


〈スウェーデン代表 パフォーマンス内容変更へ〉
ユーロビジョン2015スウェーデン代表Måns Zelmerlöwが本選で披露するパフォーマンスに大きな変更が加えられるかもしれません。

スウェーデンの放送局SVTなどによると、Månsが国内予選Melodifestivalenで披露したパフォーマンスに対し、プロジェクター等を駆使した動画が人気を集めているダンスパフォーマーa dandypunkから「動画の内容が酷似している」との指摘があったようです。

まずは二つの動画を御覧ください。
 
Måns ZelmerlöwHeroes」 Melodifestivalen2015より) 

a dandypunkThe Alchemy of Light」)

冒頭に三角帽をかぶった人形が現れ、傘を持って舞う辺りは非常に似ていますよね。

この指摘に対し、Månsのステージ演出を担当したFredrik “Benke” Rydmanは、a dandypunkからの引用を認めています。

なお、現在YouTubeのユーロビジョン公式チャンネルからは、この指摘を受けてMelodifestivalenで披露したMånsのパフォーマンス動画が削除され、代わりにリリックビデオが公開されています。 

かねてから、ウィーンの本選会場でプロジェクターを使ったパフォーマンスが困難である可能性が指摘されていたこの楽曲ですが、Måns本人は「あの子は違った服を着て登場することになるよ。あの時は2月だったからね」と、この騒動についてコメントを残しています。

Måns自身は「Måns Petter」 と名付け愛着を持っていたというあの人形。
本番ではどんなパフォーマンスが披露されるのでしょうか?


参考:ESC TodayOikotimes



【ESC2015】ベルギー:男性版Lorde? 繊細で力強い少年ボイスは必聴!



ユーロビジョン2015ベルギー代表はLoïc Nottetの「Rhythm Inside」に決まりました。

冒頭のイントロといい、随所でLordeの影響を匂わす楽曲となっていますが、サビの男性ならではの力強いボイスは彼自身の色を強く打ち出したものといえるのではないでしょうか。


〈Loïc Nottetのプロフィール〉
loicnottetLoïc Nottetは1996年にベルギー中部、ワロン語(≒フランス語)圏にある都市クールセルに生まれました。
オーストラリアの歌手Siaに憧れて歌手を志したというLoïc。実は彼の父親は歌手ではなく、フットボールの選手になって欲しかったのだとか。ミュージックビデオにフットボール選手の格好をした男の子が出てくるのは、こういう関係もあったりするのでしょうか?

彼がベルギー中の注目を集めるきっかけになったのが、2013年に放送されたベルギー版The VOICEへの出演でした。
ベルギー版The VOICEといえば、ユーロビジョン2013でベルギー代表として出場したRoberto Bellarosaを輩出した番組でもありますが、Loïcは果たしてこの番組名物のブラインドオーディションで何人の審査員を振り向かせることができたのでしょうか…?
 
Loïc NottetDiamonds」カバー The VOICE Belgiqueより) 

リアーナの名曲「Diamonds」でブラインドオーディションに臨んだ彼は、最後に見事4人全員を振り向かせることとなりました。 その後彼はバトルステージも勝ち抜き、決勝へ進出したものの、惜しくも優勝を逃し、4位に終わってしまいました。 

しかし、この番組での活躍をきっかけにLoïcはSony Musicと契約し、歌手デビューを果たしたのです。

念願の「歌って踊れる」歌手デビューを果たしたLoïcに嬉しい出来事が舞い込んだのは2014年のこと。
彼が敬愛するアーティストSiaの楽曲「Chanedelier」 のカバーを動画サイトなどでアップしたところ、なんとSia本人がツイッターでリツイートしてくれたのです。
 
Loïc NottetChanedelier」カバー Siaのオリジナル版はこちら

Siaの拠点であるオーストラリアといえば、ユーロビジョンの熱狂的なファンが多い国の一つで、60週年を迎える今大会では準決勝の投票にも参加することにもなっています。この出来事が、Loïcの決勝進出の後押しにもなるかもしれません。 


ユーロビジョン2015ベルギー代表Loïc Nottetは、現地時間5/19に開かれる準決勝1日目に出場します。
「あえてユーロビジョンらしくない曲で」という意向で、彼自身が作曲した楽曲「Rhythm Inside」。
この判断が吉と出るか凶と出るか!? Siaのファンたちの投票動向は!?
注目の一曲となりそうですね。 


参考:ESC公式 、Wikipedia"Loïc Nottet"、RTBF
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