E.S.Cheers!! - #Eurovision 2017-

ヨーロッパで開催される年に一度の音楽祭ユーロビジョン・ソング・コンテスト(ESC)の最新情報などをお届けします。

2017年03月

ロシア代表 ウクライナへの入国禁止

〈ウクライナ保安庁の声明〉
現地時間3/22、ウクライナ保安局(SSU)の報道官がFacebookで、ユーロビジョン2017ロシア代表Julia Samoylovaのウクライナへの入国を3年間禁止するという声明を発表しました。これは、Juliaが2015年に、ウクライナ当局の許可を得ずにクリミア半島で公演を行った事を受けての決定だということです。

このニュースはユーロビジョン系ニュースサイトのみならず、海外の主要メディアや日本でも報じられ、NHKニュースでは「かつて『兄弟国』と呼ばれた両国の対立が、国際的な文化行事にも暗い影を落としている」と伝えました。

ロシア系ニュースサイトのスプートニク日本語版では、「ウクライナは障害を持つロシア人女性歌手のユーロビジョン参加を許さない」とセンセーショナルなタイトルで報じ、ロシア上院国防安全保障委員会のフランツ・クリンツェヴィチ第1副委員長が、「ユーロビジョン指導部がJulia Samoylovaを支持しない場合はロシアは今後、コンクールへの参加を一切ボイコットする」と、EBUの今後の出方次第でユーロビジョンをボイコットする事を示唆するコメントを紹介しています。

なお、この第1副書記長は、ユーロビジョン2016でウクライナが優勝した際、「今年のユーロビジョンでは芸術性より政治が優先された」と不快感を示し、2017年の出場を見送る可能性にも言及していました。

この報道に関して、ロシアの一部メディアが「アルメニア代表歌手も入国を拒否される可能性がある」と報じていましたが、アルメニアの放送局は「正式な通達が届いていない」とコメントした他、ウクライナ当局も「ロシアによるFake newsだ」として、これを否定するコメントを出しています。


〈Juliaの気持ちは…〉
ウクライナ当局による決定が下る前の週、Juliaは隣国フィンランドで、リハビリを兼ねた治療を受け、ユーロビジョンへの出場に備えていました。しかし、3/22にウクライナ当局により入国不可の決定が下ったことにより、彼女はキエフのステージに立ってパフォーマンスを披露することが事実上できなくなってしまいました。

この件について、Juliaは「私は動揺していません」とコメント。事態が大きく変わることに期待を示していたほか、仮に今年出場できなくても、来年の出場に挑戦したいと意気込みを語っています。来年の出場に関しては、ロシアのテレビ局も同意しているそうです。


〈EBUの今後の動きは〉
ユーロビジョン・ソング・コンテストを主催するEBU(欧州放送連合)は、今回のウクライナ当局の決定について、開催国の法律は尊重するとしながらも、「(政治的利用は行わないとする)ユーロビジョンの精神に反しており、深く失望している」と声明を発表。ウクライナとロシアの各テレビ局を始めとする関係者に対し、事態を打開するための働きかけを行うとしていました。

3/24現在、具体的な案として持ち上がっているのは、Juliaのパフォーマンスを衛星中継で披露するというものです。現在、ロシアのユーロビジョン担当放送局Russia 1などと、衛星中継の可能性について話し合いを行っているとのことです。ちなみに、ユーロビジョンのパフォーマンスを衛星中継で行うという手法は、過去にも類を見ない方法で、今回仮に行われるとすれば、史上初の出来事となります。

話し合いは現在も行われているということですが、アーティストを第一に考慮した決定が下されることを願うばかりです。具体的な決定が下り次第、Juliaのプロフィール紹介と共に当ブログで取り上げる予定です。


第二次世界大戦後、人々の心の復興を願って開催されたのがユーロビジョンなのですから、ウクライナとロシアに限らずヨーロッパが一つになって盛り上がるこのステージ上に、争いを不要に持ち込むべきではありません!


参考:
NHK"ウクライナ 歌謡祭でロシア人歌手入国禁止"
EUROVOIX"RUSSIA: YULIA SAMOILOVA BANNED FROM ENTERING UKRAINE"
BBC NEWS"Eurovision 2017: Ukraine bars Russian singer Samoilova from contest"
スプートニク日本版"ウクライナは障害を持つロシア人女性歌手のユーロビジョン参加を許さない"
CNN日本語版"ロシア、ウクライナ人歌手の優勝に反発 ユーロビジョン"
Oikotimes"Armenian broadcaster receives no official writ from Ukraine"
Wiwibloggs"“SHE SHOULD NOT COME” — UKRAINE’S SECURITY SERVICES HAVE PREPARED THE PAPERWORK FOR JULIA SAMOYLOVA’S POTENTIAL BAN","“I AM NOT UPSET” — RUSSIA’S JULIA SAMOYLOVA SPEAKS ABOUT UKRAINE’S BAN AS NETWORK TEES HER UP FOR EUROVISION 2018"
ESC公式"Statement from the EBU regarding Russia's participation in the 2017 Eurovision Song Contest","EBU offers Russian singer opportunity to perform via satellite"

【ESC2017】アルバニア:アメアイにも出演!実力派シンガー登場


ユーロビジョン2017アルバニア代表は、Linditaの「World」に決まりました。

パワフルな歌声が特徴的なこの楽曲は、現代人の生き辛さを嘆きながらも、手を取り合い共に生きていく術を探っていくというメッセージが込められたパワーバラードです。

元の歌詞はアルバニア語でしたが、ユーロビジョンに向けて歌詞を英語に変更し、さらにオケもブラッシュアップが図られました。

シュールレアリズムの絵画のような独特の世界観で描かれたミュージックビデオも必見です。


〈Linditaのプロフィール〉
Lindita(Lindita Halimi)は1989年3月に、ユーゴスラビア(現:コソボ共和国)南部の街ヴィティナに生まれました。

Linditaが本格的に歌手活動を始めるきっかけとなったのは、2007年にアルバニアで放送されたアルバニア版アメアイEthet第3シーズンへの出場でした。彼女は決勝まで進んだものの、Top10で脱落してしまい、優勝の座を逃してしまいました。

その2年後の2009年、Linditaはアルバニアの音楽祭Top Festに出場し、優勝します。

Lindita HalimiËndërroj(夢)」 Top Fest2009より)

この年、彼女はTop Festのほか、Kënga Magjikeにも出場し、こちらでも優勝。アルバニアで歌手としての地位を築き上げることとなりました。

音楽祭への出場やシングルのリリースなど、アルバニアを中心に音楽活動を行ってきたLinditaですが、2013年にアメリカへ拠点を移します。

翌2014年、彼女はアルバニアの音楽祭で、ユーロビジョンの国内予選でもあるFestivali i Këngësに初出場しました。

Lindita HalimiS'të fal」 Festivali i Këngësより)

この大会で彼女は圧倒的な歌唱力を見せつけ大健闘したものの、結果は3位。優勝の座をElhaida Daniに譲りました。

2016年、Linditaはファイナルシーズンを迎えたアメリカン・アイドルのオーディションにも挑戦しました。

(アメアイ第15シーズン オーディションより)

彼女はこのオーディションに見事合格し、ハリウッドへの切符を手にしましたが、その後の予選で脱落してしまいます。

アメアイの優勝は逃してしまいましたが、Linditaは「服のサイズを半分に落とした」という驚きのダイエットが注目され、雑誌Peopleで取り上げられました。よく見比べてみると、Top Festに出ていた頃と今のLinditaの体型は大きく変化していることがわかります。

体を絞り、アメアイで声も磨き上げた彼女は、2016年12月に開かれたFestivali i Këngësに再挑戦し、見事優勝に輝きました。

LinditaBOTË」 Festivali i Këngës2016より)


ユーロビジョン2017アルバニア代表Linditaは、現地時間5/9に開かれる準決勝一日目に出場します。


参考:ESC公式、Wiwibloggs"“World” lyrics – Lindita Halimi (Albania, Eurovision 2017)"、Wikipedia"リンディータ・ハリミ"、People"From War-Torn Kosovo to American Idol: How Lindita Halimi Lost 130 Lbs. During Her Inspiring Journey"

【ESC2017】アルメニア:初の大規模オーディションで勝ち上がったのは…?


ユーロビジョン2017アルメニア代表は、Artsvikの「Fly With Me」に決まりました。

タイトルや歌詞は英語ですが、楽曲そのものはアルメニアの伝統音楽がベースになっており、近年の音楽トレンドに合わせた楽曲が多くエントリーしている今年のユーロビジョンの中では、エスニック色が強くて目を引く一曲です。

ステージパフォーマンスを意識したミュージックビデオを見ていると、毎年凝った演出が話題になってるだけあって、今年もつい期待を寄せたくなってしまいます。


〈Artsvikのプロフィール〉
Artsvik(Artsvik Harutyunyan / Արծվիկ Հարությունյան)は、1984年10月にアルメニア南部にある街カパンで生まれました。

5歳の頃に一家でソビエト連邦(現:ロシア連邦)の首都モスクワに移住した彼女は、幼い頃から歌手への夢を抱いていたそうです。

そんなArtsvikは2012年から、ロシアや近隣諸国で活躍しているジャズグループJAZZ PARKING Projectの一員として、歌手活動をはじめました。

ArtsvikTamam Ashkharh」(民謡) JAZZ PARKINGライブより)

ジャズプロジェクトのメンバーとして音楽活動を行いながら、彼女はソロシンガーとしての夢を追い求め、2013年に放送されたロシア版The VOICEに出演しました。
The VOICEと言えば、ドキドキのブラインドオーディションですが、Artsvikは果たして何人の審査員を振り向かせることが出来たのでしょうか?

ArtsvikSunny」Bobby Hebbカバー Golos第2シーズンより)

ユーロビジョン2008優勝者Dima Bilanも審査員として参加していたこのオーディション。Artsvikは全員を振り向かせることは出来ませんでしたが、見事通過し、最初に振り向いてくれた審査員Pelageyaのチームのもと、次のラウンドに進みました。
しかし、彼女はバトルラウンドで敗退してしまい、脱落することとなりました…

The VOICEへの出演後、彼女はJAZZ PARKING Projectに参加しながら、シングルリリースやアーティストとのコラボレーション、音楽祭への出演など、本格的な歌手活動を行っていきました。

2015年には、同じくロシア版The VOICE出身のアルメニア系シンガーMargarita Pozoyanとコラボレーションしたシングル「Сестра по духу(心の姉妹)」をリリースし、話題になりました。

Margarita Pozoyan & ArtsvikСестра по духу」)

2016年、Artsvikは長年の夢であったユーロビジョンへの出場を目指すため、拠点をアルメニアに移し、国内予選Depi Evratesilに挑戦しました。
アルメニア国内外から80組のアーティストが参加するという、アルメニア史上最大級の国内予選に挑んだ彼女。結果は如何に…?

(Depi Evratesilオーディションより)

Aram MP3やInga and Anushなど、ユーロビジョンでアルメニア代表を務めた6人の審査員から3つ以上ボタンを押してもらわなければ次のステージに進めないというオーディションを、彼女は見事クリアします。
その後、2015年代表GenealogyのメンバーEssaï Altounianのチームについた彼女は予選を次々と突破。決勝ラウンドを制し、ユーロビジョン2017アルメニア代表の座を射止めました。

ArtsvikA Million Voices」Polina Gagarinaカバー Depi Evratesil準決勝より)


幼い頃からの夢を掴んだArtsvikは、現地時間5/9に開かれる準決勝一日目に出場します。
アルメニア色を全面に打ち出したステージパフォーマンスは必見です。


参考:ESC公式、Wikipedia"Artsvik","Armenia in the Eurovision Song Contest 2017"、Youtube Artsvik公式チャンネル

【ESC2017】オーストラリア:Xファクター出身 17歳新人シンガー登場


ユーロビジョン2017オーストラリア代表は、Isaiahの「Don't Come Easy」に決まりました。

何事にも代えがたい、かけがえのない「愛」を力強く歌い上げるこのパワーバラードは、ユーロビジョン2016オーストラリア代表Dami Imの「Sound Of Silence」を手掛けた音楽チームDNA Songsによって制作された楽曲です。

昨年に続きバラードナンバーで挑むオーストラリア。今年のエントリーの約半数をバラードが占める今大会でどのように差別化を図るのか、一昨年の出場から好成績を残しているだけに、ステージパフォーマンスが大いに注目される一曲です。


〈Isaiahのプロフィール〉
Isaiah(本名:Isaiah Firebrace)は1999年11月に、オーストラリアのニューサウスウェールズ州南部にある街モアマに生まれました。

自身を含め11人きょうだいという大家族の中で生まれ育った彼は、スポーツが得意な少年として成長していったのだそうです。走ることが得意であったほか、スカイダイビング等でスリルを追い求める事も大好きなのだとか。

そんな彼が歌手としてデビューするきっかけとなったのが、昨年オーストラリアのテレビ局Seven Networkで放送されたオーストラリア版Xファクター最終シーズンへの出場でした。

IsaiahHello」Adeleカバー 豪州版Xファクター最終シーズンより)

実は2015年にもこの番組のオーディションに挑戦し、見事な歌声で賞賛を浴びていたものの、その後の成績は思うように伸びず、脱落していた彼。番組も最終シーズンとあって、後がない状況でオーディションに臨んだのです。

感極まったのか、パフォーマンスを最後までこなすことができなかった事に、審査員のGuy Sebastianから注意を受けていましたが、もう一人の審査員Adam Lambertがパフォーマンスを絶賛。見事オーディションを通過することとなったのです。

その後彼はブートキャンプなどのステージも無事クリアし、オーディションでパフォーマンスを絶賛したAdam Lambert指導のもと、決勝まで登りつめました。

Isaiah & Jessica MauboyWake Me Up」Aviciiカバー)

憧れの歌手であったJessica Mauboyとの共演も果たしたIsaiahは、前回出場で果たすことができなかった最終ステージまで登りつめ、優勝。最終回で見事、有終の美を飾ったのです。

IsaiahIt's Gotta Be You」)

2016年11月、Isaiahは最終ステージで披露した楽曲「It's Gotta Be You」でメジャーデビューを果たします。この楽曲は、オーストラリアのチャートにランクイン(最高26位)するのみならず、スウェーデン(最高15位)やデンマーク(最高21位)などヨーロッパ各国のチャートにもランクインし、国を超えたスマッシュヒットを飛ばしました。

12月には「It's Gotta Be You」をはじめ、Xファクターで披露したカバーナンバー等を収録したファーストアルバム「Isaiah」をリリース。こちらも、本国でのチャートイン(最高12位)のみならず、隣国ニュージーランドでも高順位(最高5位)にチャートインしました。


Guy SebastianやJessica Mauboyなど、ユーロビジョンでも活躍した先輩方に支えられてデビューした17歳のIsaiahは、現地時間5/9に開かれる準決勝一日目に出場します。


参考:ESC公式、the guardian"X Factor winner Isaiah Firebrace to represent Australia at 2017 Eurovision song contest"、The Sun"Who is Australia’s Eurovision Song Contest 2017 entry? Isaiah Firebrace to perform Don’t Come Easy – all you need to know"、Wikipedia"Isaiah Firebrace"、Isaiah公式サイト

【ESC2017】ノルウェー:若手サウンドクリエイターJOWST登場

 
ユーロビジョン2017ノルウェー代表は、JOWSTの「Grab The Moment」に決まりました。

ギターや歌声のサンプリングを効果的に散りばめたこのEDMナンバーは、Aleksander Walmannをフィーチャリングボーカリストとして迎え入れたJOWST初のシングルです。ちなみに、JOWSTはこの楽曲では歌っておらず、LEDで光るマスクを付けてDJプレイを行っています。

ユーロビジョンといえば、生歌で歌うことを原則としており、バックトラックへのボイスサンプリングの使用すら厳しい制限がかかっているのですが、本番ではその難局をどのように乗り越えるのか(リアルタイムサンプリングで乗りきるのか!?)にも注目したいところです。


〈二人のプロフィール〉
JOWST(本名:Joakim With Steen)は1989年6月にノルウェー中部の街トロンハイムで生まれました。

音楽制作をNoroff Vocational Schoolで学んだ後、2011年からサウンドクリエーターとして活動を開始。テレビ番組や映画のサウンドトラックの制作に関わる他、DJとしてリミックス作品を夜に送り出しています。

CLMD feat. AlidaNight Train (JOWST Remix)」)


今回フィーチャリングボーカリストとして楽曲に参加しているAleksander Walmann(本名:Aleksander Walmann Åsgården)は、1986年にノルウェー南部の町ポーシュグルンで生まれたシンガー・ソングライターです。

音楽一家のもとに生まれたAleksanderは、2012年にノルウェー版The VOICEに出場し、注目をあつめることになります。

(ノルウェー版The VOICE ブラインドオーディションより)

審査員4人全員を振り向かせることが出来た彼は決勝ステージまで駒を進めましたが、惜しくも優勝を逃し、2位で終了しました。

翌2013年からアーティスト活動を開始したAleksanderは、これまでにシングルを4曲発表している他、フィーチャリングアーティストとして数々の楽曲にも参加しています。

Aleksander WalmannSweet Moon」)


2017年。それぞれ音楽活動を行っていた二人はノルウェーのユーロビジョン国内予選MGPに出場します。

JOWSTGrab The Moment」 MGP2017より)

ユーロビジョン1980・1987アイルランド代表を務めた歌手Johnny Loganや、ユーロビジョンブロガーのWilliam Lee Adamsなどが海外審査員として招かれたこの大会で、JOWSTは決勝ラウンドまで残り、視聴者投票で1位を獲得し、ユーロビジョン2017ノルウェー代表の座を射止めました。

ユーロビジョン2017ノルウェー代表JOWSTは、現地時間5/11に開かれる準決勝2日目に出場します。
会場をクラブに変える彼らのパフォーマンスは要注目です。


参考:Wikipedia"JOWST","Aleksander Walmann","Norway in the Eurovision Song Contest 2017"
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