E.S.Cheers!! - #Eurovision 2017-

ヨーロッパで開催される年に一度の音楽祭ユーロビジョン・ソング・コンテスト(ESC)の最新情報などをお届けします。

出演アーティスト(準決(1))

【ESC2015】ベラルーシ:ポップシンガーとヴァイオリニストのポップな化学反応



ユーロビジョン2015ベラルーシ代表は、 Uzari & Maimunaの「Time」に決まりました。

例年、国内予選で代表が決まっても某大統領に引っ掻き回され結果が覆ったり唐突な楽曲差し替えが行われる事の多いベラルーシですが、今年はすんなり決まったようです。

ポップシンガーとして活躍しているUzariと、プロヴァイオリニストとして活躍しているMaimuna。どんなステージになるのか楽しみですね。


〈Uzari & Maimunaのプロフィール〉
Uzari(ヴォーカル、作詞作曲担当)
Uzari(本名:Yuri Navrotsky)は1991年に、ベラルーシの首都ミンスクの音楽一家の元に生まれました。

現在シンガー・ソングライターとして活動中のUzari。実は2011年にユーロビジョンのベラルーシ代表Anastasia Vinnikovaのバックコーラスとしてステージに上った経験があります。
 
Anastasia VinnikovaI Love Belarus」 ユーロビジョン2011より) 

その後Uzariはソロとして、2012年と2013年の国内予選に参戦し、それぞれ5位、8位という成績を残しています。 


Maimuna(ヴァイオリン担当)
「ベラルーシの第一ヴァイオリン」とも言われているMaimuna(本名:Maimuna Amadu Murasjko)は1980年にソビエト連邦のレニングラード(現:ロシア連邦サンクトペテルブルグ)で生まれました。

ベラルーシ人の母とアフリカのマリ共和国出身の父の間に生まれたMaimuna。一時は父親の故郷であるマリで暮らしていたこともあったようなのですが、あまりに気候が暑すぎて馴染めなかったために、母方の家族が住むベラルーシに移住したのだそうです。

プロのヴァイオリニストとして1990年から活動を始め、各地のコンクールで賞を受賞してきたMaimunaは、これまでに「Queen of Africa」と「Showtime」の二枚のアルバムをリリース。精力的に活動を行っています。
 
MaimunaQueen of Africa」)


ポップアーティストとヴァイオリニストの異色ユニットUzari & Maimunaは、現地時間5/19に開かれる準決勝1日目に出場します。
彼らの熱いライブパフォーマンスに要注目です。


参考:ESC公式、Wikipedia"Uzari","Maimuna"

【ESC2015】マケドニア:ステージパフォーマンスに隠し球あり…!?



ユーロビジョン2015マケドニア代表は、Daniel Kajmakoskiの「Autumn Leaves」に決まりました。

Danielがこの楽曲について、「子供の頃初めて恋した時の気持ちがよみがえってくる」と語るように、甘酸っぱい初恋について歌われたミディアムテンポなナンバーに仕上がっています。秋、紅葉色付く並木道を歩きながら聞きたい一曲ですね。 


〈Daniel Kajmakoskiのプロフィール〉
Daniel Kajmakoskiは1983年に、マケドニア南西部の都市ストルガで生まれました。
ちなみにDanielという名前は、その年のユーロビジョンでユーゴスラビア代表として出場した歌手Daniel Popovicにちなんで付けられたのだそうです。なんだか、運命を感じさせるエピソードですね。

Danielが6歳の時、一家はオーストリアのウィーンに移住。17歳の頃から国内外の様々なオーディション番組の出場などに挑戦することとなります。

2009年にはマケドニアの音楽祭で自作の楽曲を披露、シンガー・ソングライターとして、様々な国の音楽番組の出演やアーティストの音楽制作に加わり、腕を磨いていきました。

2013年には、旧ユーゴスラビアで放送されたX Factor Adriaのオーディションに出場します。


Daniel KajmakoskiRed」カバー X Factor Adriaより)

Danielは見事このオーディションを通過、ユーロビジョン2012セルビア代表を務めた歌手Željko Joksimović率いるオーバー27枠で順当に上位に登りつめ、見事優勝に輝きました。
その年の夏には、この番組の縁もあり、DanielはŽeljko Joksimovićとデュエット曲「Skoplje Beograd」を発表します。夏らしい陽気なナンバーに仕上がっています。

そして昨年11月、Danielはユーロビジョンのマケドニア国内予選に出場し、「Autumn Leaves」のマケドニア語版「Lisja Esenski」で出場します。


Daniel KajmakoskiLisja Esenski」 国内予選より)

国内予選の決勝の結果、視聴者投票で1位、審査員投票で2位、総合首位となり、見事マケドニア代表の座を獲得しました。


〈ステージパフォーマンスの”隠し球”〉
Daniel Kajmakoskiは先日、自身のユーロビジョンのステージパフォーマンスについて、アメリカのR&BユニットMERJと共演することを明かしました。MERJはかつて、グラミー賞の受賞経験もあるR&BユニットBlackstreetとして活動していた Mark Middleton、Eric Williams、Jeremy Hannaの3人で構成されたユニットです。

DanielとMERJは、貧困にあえぐ家族を救う慈善事業Holiday HeroesのPRのために作られた楽曲「Carry The Flame」で共演しています。

Daniel Kajmakoski, BOBO, MERJ formerly from BLACKSTREETCarry The Flame」)

今回の共演についてDaniel自身は興奮を隠し切れない様子で、「彼らの音楽を聞いて育った僕が、今彼らと同じステージに立つことになった。こんな大きな願いが叶うなんて信じられない!」と語っています。


かつてアメリカの90年代R&Bシーンを賑わせたBlackstreetとDanielの共演は、現地時間5/19に開かれる準決勝1日目でお披露目されます。
どんな熱いパフォーマンスが繰り広げられるのか、要注目です。


参考:ESC公式(12)、Wikipedia"Daniel Kajmakoski"、 公式ページ

【ESC2015】ルーマニア:人気ロックバンドが歌で伝えたかったメッセージとは…?



ユーロビジョン2015ルーマニア代表は、ロックバンドVoltajの「De la capăt / All Over Again」に決まりました。

Voltaj(=ボルテージ)という力強いバンド名とうって変わって、Călin Goiaの優しく語りかけるようなボーカルが印象的なミディアムポップナンバーに仕上がっている楽曲ですが、ミュージックビデオに出てくるメッセージ、気になりますよね? 
今回はミュージックビデオを通して伝えたかったVoltajのメッセージも紐解いてみたいと思います。


〈Voltajのプロフィール〉
voltajVoltajは5人組のロックバンドで、民主化革命が起こる前の1982年から活動を続けている、ルーマニアで人気の高いグループです。

現在のメンバーは以下の5人です。
 ・Călin Goia (ボーカル)
 ・Gabi „Porcus“ Constantin (ギター)
 ・Adrian Cristescu (キーボード)
 ・Valeriu „Prunus” Ionescu (ベース)
 ・Oliver Sterian (ドラム)

長い活動期間の中でバンドメンバーや演奏スタイルは様々に変遷してきていますが、現在はエレクトロポップの要素も取り入れたポップロックスタイルで活動しています。


VoltajLumea E A Mea(世界は僕のもの)」)

モルドバ、オーストリア、スペイン、イタリア、アイルランドなど、国内外での活動経験もある彼らは、2005年のMTV Europe Music AwardでBest Romanian Actを受賞します。 

国内外で高い評価を受けているVoltajは、2015年に開かれたユーロビジョンのルーマニア国内予選に出場し、優勝します。
 
VoltajDe la capăt」 ユーロビジョン2015ルーマニア国内予選より)

ルーマニアを代表するロックバンドが晴れて代表の座を射止めたわけですが、気になるのはミュージックビデオに流れたメッセージ、国内予選の冒頭で、母親が寝てる子供にキスしてから重い荷物を持って家を出るというパフォーマンス… 
これらは何を示しているのでしょうか? 

それには、ルーマニアが辿ってきた近年の歩みを振り返る必要があるようです。


〈ルーマニアの抱える出稼ぎ問題〉
1989年、長く実権を握っていたチャウシェスク政権が革命によって崩壊した後、ルーマニアは民主化を果たし西側諸国の仲間入りを果たすこととなりましたが、経済は大きく停滞した状況が続き、ヨーロッパの中で最貧国の一つとなってしまいました。

しかし、地道な改革や、2007年のEU加盟を期にルーマニアの経済は飛躍的に伸びていきます。現在のルーマニアの一人あたり実質GDPも9750ドル(2015年4月IME調べ)と、民主化当初(2302ドル)より大幅に増加しています。

ところが、 目をルーマニアからEU全域に移すと、イギリスやスペイン、イタリアなどはルーマニアの倍以上のGDPを打ち出しており、EU域内の経済格差がはっきりと現れていることがわかります。

volpv1EUでは域内の人と物の行き来が自由となっていますから、2007年のEU加盟後のルーマニアでは、より多くの賃金を求めて出稼ぎに行く人が後を絶たなくなってしまいました。Voltajのミュージックビデオにもありますが、現在300万人以上のルーマニア人が出稼ぎに行っているのです。

その結果、ルーマニアには現在、出稼ぎに出ている親と長く離れ離れになっている子どもたちが多数いるという社会問題が起こっているのです。2006年には、10歳の子供が、出稼ぎに行っている親に会えない寂しさのあまり自殺してしまったという出来事があり、大きな関心を呼んだようです。子どもにもっと良い生活をしてほしいと願い、出稼ぎに行った結果がこのような悲劇となってしまうのは、何とも痛ましいことだと思います。

そこで立ち上がったのが、今回ルーマニア代表となったロックバンドVoltajです。
彼らは今回の楽曲にちなんで、「All Over Again(De la capăt)」というプロジェクトを立ち上げ、親と離れ離れになっている子どもへの支援をNPO法人とタッグを組んで行うこととなりました。 今回の楽曲は、そんなルーマニアの現状を歌の力で変えていこうという思いが込められていたんですね。


ルーマニアの子どもたちの思いを代弁すべく立ち上がったロックバンドVoltajは、現地時間5/19に開かれる準決勝1日目に登場します。
彼らの思い、そして暖かいルーマニア語の響きに、ぜひ耳を傾けてみてください。


参考:ESC公式、Wikipedia"Voltaj"、Voltaj公式サイト、NHK BS1地球特派員2007「拡大EUのフロンティアで ~新加盟ルーマニアの光と影~」(PDF)、世界経済のネタ帳「ルーマニアの一人あたりGDPの推移」 

【ESC2015】モルドバ:ウクライナのトップアーティストが代表に



ユーロビジョン2015モルドバ代表は、Eduard Romanyutaの「I Want Your Love」に決まりました。

歌って踊れるイケメンシンガーがモルドバ代表として選ばれたわけですが、彼はなんとウクライナを拠点に活動しているウクライナ人。モルドバの国内予選で彼の優勝が決まった時、他のモルドバのアーティストたちからは国外の人間を選んだ審査員に対する批判などが巻き起こったと言われています…

未だ止まぬ内戦とそれに伴う財政上の問題で、ウクライナは今年のユーロビジョンの参加を取りやめることとなり、以前からユーロビジョンへの準備を続けていたEduardは隣国モルドバに鞍替えし、出場する事となったのです。


〈Eduard Romanyutaのプロフィール〉
Eduard Romanyutaは1992年に、ウクライナ西部の都市テルノーピリに生まれました。

4歳の頃からステージに立ち歌を披露していたというEduardは、当時のウクライナの大統領レオニード・クチマ氏から絶賛され、「ウクライナのRobertino Loreti(イタリアで10代の頃から活躍し続けている歌手)」 と評されるほどだったのだそうです。その評価はウクライナのみならず、イタリアやブルガリアなど海外の音楽祭でも賞を獲得するほどのものだったとか。


Eduard RomanyutaKarnavar(カーニバル)」)

2004年、幼い頃から精力的に音楽活動を続けているEduardは、「ウクライナの音楽文化の発展に寄与した」としてウクライナの首相から勲章とメダルが贈られました。

その後、Eduardはスウェーデンなど海外の音楽プロデューサーと組んでユーロビジョンへの出場を目指していくこととなります。2011年から毎年ウクライナの国内予選に出場した彼は、順当に成績を伸ばしていき、2013年の国内予選では3位という結果を残しました。

 
Eduard RomanyutaGet Real With My Heart」 ユーロビジョン2013ウクライナ国内予選エントリー曲)

そして2015年。参加辞退を表明したウクライナから隣国モルドバに鞍替えし、「I Want Your Love」で勝負に挑みました。

 
Eduard RomanyutaI Want Your Love」 モルドバ国内予選より)

準決勝でトップの成績を治めた彼は、決勝でも視聴者・審査員いずれの結果も1位となり、モルドバ代表の座を獲得したのです。

この結果については、今でも様々なメディアや現地のアーティストの中で異論が出ているそうですが、その批判をかわす狙いもあるためか、今回の出場とプロモーションツアーにかかる費用は全て自腹を切るという話も伝えられています。


ユーロビジョン2015モルドバ代表Eduard Romanyutaは、現地時間5/19に開かれる準決勝1日目に登場します。
今年のユーロビジョンのスローガンである「Building The Bridge」になぞらえ、「ウクライナとモルドバ、そしてヨーロッパ中に美しい音楽の架け橋を繋いでいきたい」と、意気込みを語る彼のパワフルなステージは必見です。


参考:ESC公式、Wikipedia"Eduard Romanyuta"、YouTube公式チャンネルWiwibloggs 

【ESC2015】オランダ:実力派シンガー満を持して登場 トレインチャ・オーステルハウス



ユーロビジョン2015オランダ代表は、国内外で高い人気を持つ実力派女性シンガーTrijntje Oosterhuis(トレインチャ・オーステルハウス)の「Walk Along」に決まりました。 

明るくキャッチーな前向きソング、つい口ずさみたくなりますよね。
今回の楽曲制作には、ユーロビジョン2013でオランダ代表を務めたAnoukが作詞に関わっています。2013年のオランダ代表曲「Birds」とは180度違う曲調に仕上がっていますが、Anoukが歌うとどんな感じになるのかも気になります…!


〈Trijntje Oosterhuisのプロフィール〉
トレインチャ(Trijntje Oosterhuis)は1973年に、オランダの首都アムステルダムに生まれました。

父親は元牧師で教会音楽作詞家、母親はプロのヴァイオリニストという音楽一家のもとに生まれたトレインチャは、1990年に兄のティエール・P・オーステルハウスとTotal Touch(トータル・タッチ)というユニットを結成し、本格的な音楽活動を始めます。

オランダ国内のアマチュア音楽コンテストや有名歌手のライブのサポートメンバーに参加した後、1995年にレコード会社と契約し、デビューシングル「Touch me There」をリリース。ポップス、ロック、R&Bをモダンにミックスしたライブパフォーマンスは当時画期的だったために注目を集め、翌年リリースされたファーストアルバム「Total Touch」はスマッシュヒットを飛ばしました。
 
Total TouchTouch me There」)


国内外でアルバムが大ヒットし、90年台後半の顔とも言えるくらいに活動が盛り上がっていったTotal Touchは2001年に解散し、トレインチャはソロとして活動を再開することとなりました。

ソロになった後は、歌唱のみならず楽曲制作にも力を入れていくこととなり、ジャンルもソウルやジャズといった、彼女にとってやりがいがあると感じるものに取り組んでいくこととなりました。

アルバムが軒並みヒットを飛ばし、ライブも好評を呼んでいる彼女は、ライオネル・リッチーやアンドレア・ボチェッリ、ローナン・キーティングなど様々な有名アーティストとも共演。共演したアーティストからは彼女の歌唱力の高さを絶賛する声が多く寄せられているそうです。

中でも話題になったのは、アメリカのポップスの巨匠バート・バカラックの楽曲をカバーしたアルバム「The Look Of Love」のリリースでした。バート・バカラック自身も制作に参加したというこのアルバムはオランダ本国でプラチナセールスを記録したのみならず、世界的にヒットしました。日本でも、ユニバーサルミュージックからアルバムが発売されました。

 
Trijntje Oosterhuis 「Do You Know The Way To San Jose」、「Close To You」カバー)


日本でもライブを開催したことのある実力派トップシンガーのトレインチャは、現地時間5/19に開かれる準決勝1日目に登場します。彼女のパワフルなライブパフォーマンスに要注目です。


参考:ESC公式ユニバーサル・ミュージック・ジャパン、Wikipedia"Trijintje Oosterhuis","Total Touch
Spotifyプレイリスト
Twitter プロフィール
E.S.Cheersのツイッターアカウントです。 記事の紹介と併せて、ツイッター上で拾ったユーロビジョン最新情報のリツイート等もしています。 良かったらフォローお願いします♪
QRコード
QRコード
にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村
banner
  • ライブドアブログ