ユーロビジョン2016スウェーデン代表は、Fransの「If I Were Sorry」に決まりました。
「もし僕が悪かったら」と続くこの歌には、「砂漠の中をクロールする」や「肺が持たなくなるまで深くまで潜る」、「くたびれるまで何千キロも走る」など、絶対にできないであろう様々な課題が書かれています。
そして歌の最後「でも僕は悪くないんだ」からも分かるように、歌詞の中では頻繁に「Sorry」が出てくるため、いっぱい謝っているように聞こえるものの、結局は謝っていないというのが、この歌の面白いポイントなのかなと思います。
とても静かな楽曲で、ユーロビジョン向けの楽曲とは言い切れない部分もありますが、小さいころに友達と喧嘩した時のようなしょっぱい思い出がふと湧き上がってくる、味のある一曲に仕上がっています。
〈Fransのプロフィール〉
Frans(本名:Frans Jeppsson Wall)は1998年に、スウェーデン南部の街イースタッドで生まれました。
彼の音楽キャリアはかなり早く、7歳の頃にロックバンドEliasと共に制作したシングルがスマッシュヒットを飛ばし、話題になりました。
(Frans and Elias 「Who's Da Man」)
レゲエのビートに乗せて幼いFransがノリノリに歌っているこの曲は、スウェーデンを代表する有名サッカー選手ズラタン・イブラヒモビッチを歌ったトリビュートソングになっていて、スウェーデンのシングルチャートで13週連続1位という快挙を成し遂げました。
このヒットが縁となり、2年後の2008年に再びEliasとタッグを組み、UEFAチャンピオンシップのスウェーデン応援ソング「Fotbollsfest」をリリースしました。
(Frans feat. Elias 「Fotbollsfest」)
こちらもスウェーデンのシングルチャートで1位を獲得し、人気を博しましたが、その後Fransは目立った音楽活動を行っていませんでした。
そして2016年。「Who's Da Man」のヒットから10年の時を経て、Fransはユーロビジョンのスウェーデン国内予選Melodifestivalen2016に出場します。
(Frans 「If I Were Sorry」ライブパフォーマンス Melodifestivalen2016より)
多くの強豪歌手を押しのけ、決勝まで進んだFrans。YouTubeのMelodifestivalen公式チャンネルの予選パフォーマンス動画の中で唯一100万回再生を突破しており(決勝当時)、ブレイクの兆しが見受けられていました。
そして決勝では、視聴者からの圧倒的な支持を得て、優勝候補の一人と目されていたOscar Ziaを下して優勝。ユーロビジョン2016スウェーデン代表の座を勝ち取ったのです。
(Oscar Zia 「Human」ライブパフォーマンス Melodifestivalen2016より)
国内予選で優勝した後、Fransは「If I Were Sorry」のシングルをリリースしました。
このシングルはスウェーデンのシングルチャートで1位を獲得したほか、海外のシングルチャートでも100位以内に続々ランクイン。音楽配信サービスSpotifyでも、ヨーロッパ各国のみならず、台湾やウルグアイのバイラルチャートの上位にランクインするなど、各地でスマッシュヒットを飛ばしました。
国内予選でキッズシンガーからの成長と、まだ残るあどけなさを見せつけたFransは、現地時間5/14に開かれる決勝に出場するほか、5/10の準決勝1日目でもパフォーマンスを披露する予定です。
参考:ESC公式、Wikipedia"Frans Jeppsson Wall","If I Were Sorry"