ユーロビジョン2017フランス代表は、Almaの「Requiem」に決まりました。
レクイエムとは、クラシック音楽のジャンルの一つで、人の死を弔う葬送曲を指しますが…
この曲の歌詞も、「あなたは死に何を思う? それは一つの季節でそれ以外のものでもない」と、まるでこれから死にゆく人を、甘美で詩的な言葉を使って安らかな眠りへと誘うような内容となっています。
そしてこの歌詞は同時に、今を生きている人に対しても「死を恐れなくてもいい」と、メメント・モリのように投げかけているようにも聞こえ、非常に技巧的に作られていることが伺えます。
この楽曲は当初、歌詞はフランス語のみで綴られていましたが、「より多くの聴衆に届く歌詞にしたい」というAlmaとプロデューサーの思いから、サビの一部を英語に改めました。さらにアレンジも変更され、甘美な歌詞をよりスタイリッシュに彩ったものに仕上がりました。旧バージョンに比べ、後半の展開がより盛り上がるようにメロディーが変更されたのは大きな改善点だと思います。
楽曲のプロデュースにはユーロビジョン2016フランス代表Amirの「J'ai cherché」のプロデュースにも関わった作曲家Nazim Khaledが手がけていることもあり、昨年同様、高順位が期待される一曲に仕上がったのではないでしょうか?
(Amir 「J'ai cherché」 ユーロビジョン2016決勝より)
〈Almaのプロフィール〉
Alma(Alexandra Maquet)は1988年9月にフランス南東部の街リヨンで生まれました。
3姉妹の長女として生まれた彼女は、小さい頃からピアノを習い始めていたほか、歌にも興味を示していたのだそうです。
両親の仕事の都合で15歳の時に米国に渡った彼女ですが、商業を学ぶため17歳の頃にフランスに戻り、ビジネススクールに入学しました。この時、インターンシップでブラジルに渡ったこともあるのだとか。
卒業後は、イタリアのミラノで約一年間働いてたということもあり、Almaはフランス語・英語・ポルトガル語・イタリア語の4ヶ国語を話すことができるのだそうです。
しばらく音楽とは縁の遠い仕事を続けていたAlmaでしたが、友人の死をきっかけに曲作りを始めた彼女は「音楽に生涯の情熱を捧げよう」と思い立ち、2012年からフランスの首都パリに移って音楽活動を始めることとなりました。
(Alexandra Maquet(Alma) 「Entre nous(Between Us)」 France3 Les chansons d'abordより)
ユーロビジョン2015フランス代表Lisa Angellも出演していたFrance3の音楽番組Les chansons d'abordに2013年からレギュラー出演していた彼女は、この番組で作曲家Nazim Khaledと出会い、プロデビューのきっかけを掴むこととなりました。
2016年、Almaはワーナーミュージック・フランスと契約し、Nazimプロデュースによるシングル曲「La chute est lente(秋は遅い)」でデビューを果たします。
(Alma 「La chute est lente」)
そして2017年。France2が300本もの公募曲の中から内部選考でAlmaの「Requiem」を代表曲として選定。ユーロビジョン2017フランス代表として出場することが決まったのです。
(Alma with Amir 「Requiem」アコースティックバージョン)
昨年のフランス代表Amirを指導者に迎え本線に備えているAlmaは、現地時間5/13に開かれる決勝に出場するほか、5/11に開かれる準決勝2日目でもパフォーマンスの一部が披露される予定です。
昨年の大躍進を受けて、今年は全国の映画館で決勝の上映が行われるというフランス。
プレッシャーを跳ね除け、最高のパフォーマンスを披露してほしいですね。
参考:ESC公式"About Alma","Alma's Requiem for France in 2017","Eurovision 2017 to hit the silver screen in France"、Wikipedia"Alma(英語 / フランス語)"、Le Figaro"Eurovision 2017 : Alma représentera la France avec Requiem"、Wiwibloggs"FRANCE: ALMA WILL SING “REQUIEM” AT EUROVISION 2017"