ユーロビジョン2015イギリス代表は、男女2人組のユニットElectro Velvetの「Still In Love With You」に決まりました。

男女の駆け引きが軽快に行われるこのアップテンポなダンスポップナンバーは、1920年代に流行したスウィング・ジャズを現代風に蘇らせた一曲となっていて、ノスタルジーを感じながらも楽しく聞けるものに仕上がっています。

曲の中盤で男性ボーカルのAlex Larkeが披露するスキャットは、敬愛しているアーティストの一人であるルイ・アームストロングから着想を得たものなんだそうです。 


〈Electro Velvetのプロフィール〉
・Alex Larke
Alex Larkeは1979年に、イギリスの首都ロンドン近郊の田園都市ウェリン・ガーデン・シティで生まれました。

1950年代や60年代の音楽が流れる家に育ったAlexは、自作のラップを作って友達に披露したりするなど、ミュージシャンを夢見る思春期を送っていたそうですが、決定的な出来事が15歳のクリスマスの時に訪れました。CDプレーヤーから流れるオアシスの曲をきいて「自分のやりたいことはギターを弾いたり歌ったり曲を作ることだ」と思い立ったのです。

そこで、1998年辺りからバンドを組んで音楽活動を始めるAlexですが、ミュージシャンとしてなかなか芽が出ず。2007年、そんな彼の元に飛び込んできたのが、「ローリング・ストーンズのトリビュートバンド『The Rollin' Clones』が新たなミック・ジャガー役を探している」との情報。ローリング・ストーンズも大好きだった彼はこの後、The Rollin' Clonesの新メンバーとして加わり、イギリスのみならず世界中をツアーで回ることとなったのです。

 
(The Rollin' Clones)

Alexは現在、The Rollin' Clonesのミック・ジャガー役として活躍する一方で、小学校の教師として教鞭をとったり、ミュージシャンのたまご達に音楽を教えたりする忙しい日々を送っているそうです。


・Bianca Nicholas
Bianca Nicholasは1989年にイギリスの首都ロンドンで生まれました。

難病の嚢胞性線維症を抱えて生まれた彼女は、幼いころは役者になりたいと夢見ていて、5歳の頃から子役として短編映画などに出演していました。1999年には、ハリウッド映画「スリーピー・ホロウ」にも出演していたそうです。

しかし、彼女もAlexと同じく15歳の時に歌手になりたいと志し、音楽の道を歩み始めました。

2008年、BiancaはイギリスiTVで放送されたXファクター第4シーズンのオーディションを受けます。
このオーディションは通らなかったものの、 彼女はインディーズで音楽活動を続けていきました。

2011年には、チャリティイベントでウィル・ヤングと共演し、シングル曲「Hold On To Your Dreams」を披露しました。彼女の歌声は、イギリスのウィリアム王子とヘンリー王子、ケンブリッジの公爵夫人の前でも披露され、話題となったそうです。


Bianca NocholasHold On To Your Dreams」)

彼女のシングル曲「Hold On To Your Dreams」 は、UKチャートトップ100にランクインした他、iTunesストアのボーカルチャートで1位を獲得し、インディーズアーティストとしては異例の記録を打ち出しました。

2014年、BiancaはBBCで放送されたThe VOICE UKにも出演しました。

 
Bianca NicholasOne」カバー The VOICE UKより)

結果はというと… どの審査員も振り向かず。
残念ながら彼女はThe VOICEのオーディションも落ちてしまいました。良い声なのに…


BiancaがThe VOICEに挑戦したこの年、友人だったAlexとElectro Velvetと結成し、楽曲のデモテープをBBCのユーロビジョン内部選考に送りました。その結果、見事二人はイギリス代表に選ばれたのです。 


小学校教師と「ミック・ジャガー」の二足のわらじを履くAlexと、難病と闘いながら歌手の頂点を目指すBianca。
二人の軽快で優雅、そしてちょっとコミカルなライブパフォーマンスは、現地時間5/23に開かれる決勝で披露されます。 


参考:ESC公式、Facebook公式アカウント(”Alex Larke”,”Bianca Nicholas”)、IMDb、Wales Online(1,2